BtoBインタビューの対象者をどう集めるか — リクルーティング実践ガイド
仮説検証でインタビューをやりたい。 質問設計もできた。
だが、誰に聞けばいいのか。そしてどうやってその人を見つけるのか。
BtoBの仮説検証インタビューで最も難しいのが、対象者のリクルーティングだ。
BtoCなら知人やSNSで集められる。 BtoBでは「製造業の事業開発部長」「IT企業の新規事業担当者」といった特定の属性を持つ人を探す必要がある。
この記事では、BtoBインタビューの対象者を最短1週間で集める方法を書く。
3つのリクルーティング手段
手段1: エキスパートネットワーク(ビザスク・uniiリサーチ)
最も確実な方法。
ビザスク
- 登録エキスパート60万人以上
- 業界・役職・経験で検索可能
- 1時間のインタビューで1.5-3万円/名が目安
- 最短3-5営業日でマッチング
uniiリサーチ
- ユーザーインタビュー特化のプラットフォーム
- 謝礼込みで1名あたり5,000-15,000円が相場
- BtoC寄りだが、BtoBの一般職種(営業、マーケ等)もカバー
使い方:
-
募集条件を設定する
- 業界: 製造業 / IT / 金融 etc.
- 役職: 部長 / マネージャー / 担当者
- 経験: 新規事業に関わった経験あり
- 除外: 競合企業・コンサル業
-
スクリーニング質問を用意する(3-5問)
- 「現在の役職と業務内容を教えてください」
- 「新規事業の検証に関わった経験はありますか」
- 「直近1年以内にPoCまたは仮説検証を実施しましたか」
-
候補者をレビューし、3-5名を選定する
費用感:
- ビザスク: 5名で10-15万円(謝礼+手数料)
- uniiリサーチ: 5名で5-10万円
手段2: 自社顧客・既存ネットワーク
自社の既存顧客や取引先にインタビューを依頼する方法。
メリット:
- コストがほぼゼロ
- 関係性があるため、深い話が聞ける
- アポが取りやすい
デメリット:
- バイアスがかかりやすい(好意的な回答が多い)
- ターゲット属性に合わない場合がある
- 営業チームとの調整が必要
アプローチの手順:
-
営業チームに趣旨を説明する
- 「売り込みではなく、課題についてのヒアリング」と明確にする
- 営業活動への影響がないことを確認する
-
候補リストを作成する
- ターゲット属性に合致する顧客を5-10名リストアップ
- 営業チームに「この人に聞いていいか」を確認
-
インタビュー依頼のメールを送る
依頼メールの例:
件名: 新規事業に関するヒアリングのお願い(30分)
○○様
いつもお世話になっております。
□□の△△です。
現在、新規事業の企画にあたり、
○○業界の事業開発に携わる方に
課題についてお話を伺っております。
ご多忙のところ恐縮ですが、
30分ほどオンラインでお話を伺えませんでしょうか。
・目的: ○○領域の課題に関するヒアリング
・所要時間: 30分
・形式: オンライン(Zoom等)
・時期: 来週中
※セールス目的ではございません。
お聞きした内容は匿名化の上、
社内の企画検討にのみ使用します。
ご検討いただけますと幸いです。
手段3: LinkedIn・SNS経由
直接アプローチする方法。
やり方:
- LinkedInで業界・役職で検索
- コネクションリクエストと同時にメッセージを送る
- 謝礼を明示する(5,000-10,000円のAmazonギフト券等)
成功率: 10-20%程度。5名確保するなら30-50名にアプローチが必要。
コツ:
- 共通の知人がいれば紹介を依頼する
- 「○○についての研究」という切り口にする
- 謝礼を必ず明示する
- 1回目のメッセージは短く(5行以内)
リクルーティングのスケジュール
| 手段 | 準備 | マッチング | インタビュー実施 | 合計 | |---|---|---|---|---| | ビザスク | 1日 | 3-5営業日 | 1-2週間 | 約2週間 | | 自社顧客 | 2-3日 | 1週間 | 1-2週間 | 約2-3週間 | | LinkedIn | 1日 | 1-2週間 | 1-2週間 | 約3週間 |
最も速いのはビザスク。 予算があればビザスク、なければ自社顧客、時間があればLinkedInの併用を推奨。
対象者選びの注意点
「意思決定者」に聞く
BtoBでは、課題を感じている人と予算を持っている人が異なる場合がある。
可能であれば、意思決定者(部長クラス以上)にインタビューする。 現場担当者の声も重要だが、「予算をつけられるか」の判断は意思決定者にしかわからない。
バイアスに注意する
- 好意バイアス: 知人は厳しいことを言いにくい → エキスパートネットワークで補完
- 生存者バイアス: 成功事例に偏る → 失敗事例・撤退事例も意図的に含める
- 自社バイアス: 既存顧客は自社に好意的 → 非顧客も含める
3-5名のうち、少なくとも1名は「自社と関係のない人」を入れる。
3名で十分か、5名必要か
3名: 課題のパターンが見え始める 5名: パターンの確信度が上がる
予算が限られるなら3名から。 「3名中3名が同じことを言った」なら、その仮説は確度が高い。
FAQ
インタビューの謝礼はいくらが適切か
BtoBの場合、ビザスク経由で1.5-3万円/名、直接依頼で5,000-10,000円のギフト券が相場。部長クラス以上は3万円、担当者クラスは1万円が目安。謝礼が安すぎると質の高い対象者が集まらない。
何名にインタビューすれば十分か
BtoBなら3-5名が目安。3名で課題のパターンが見え、5名で確信度が上がる。統計的有意性は不要。「複数名が同じ課題を挙げるか」が判断基準。
競合企業の人にインタビューしてもいいか
原則として避ける。競合の従業員にインタビューすると、情報漏洩のリスクがある。ターゲット顧客(競合のユーザー側)にインタビューするのは問題ない。その場合、競合サービスの使用感を聞くことで、差別化のヒントが得られる。
LITMUSは、新規事業の仮説検証に特化したスタジオです。顧客インタビューの対象者リクルーティングから、インタビュー設計・実施・インサイト抽出まで。